公式種目、3つ目は「T.R.C.」の紹介です。
読み方はそのまま「ティー・アール・シー」で、正式には「スロー ラン アンド キャッチ」と言います。
先に紹介したM.T.A.と同様に、ディスクを自分で投げて自分でキャッチする競技でディスクも同じものを使いますが、M.T.A.が滞空時間を競うのに対して、T.R.C.は投げてから片手でキャッチするまでの距離を競う種目です。
M.T.A.と違って、どこから投げたかを把握しなければいけませんので、スローイングラインがあります。変わっているのは、スローイングラインが直線ではなく円形であるという点です。
風向きの変化への対応と、風向と投げ出し角度の関係は各選手の戦略によって変わってくるためです。
直径4mのサークルがスローイングラインです。助走はサークル外から可能ですが、ディスクが手を離れる瞬間はサークル内でなければなりません。
ディスクをキャッチした瞬間のディスクの位置を計測員がマークし、サークルの中心からの距離を計測します。サークルの端からの距離が記録になりますので、計測した距離から半径2m分をマイナスしたものが記録となります。
円の中心からキャッチした点までが30mなら記録は28mですね。
風上にまっすぐ投げると、風に戻されてまっすぐに投げた場所に戻ってしまい距離をかせぐことができません。多くの選手は風に対して斜め45度ぐらいで投げ出し、自分の前方に押し戻されたディスクが落ちてくるようにコントロールします。これはM.T.A.と同様の戦略で、滞空時間をかせいでその間に走るという方法です。
脚力に自信のある選手は、逆に追い風に近い形でディスクを投げて飛行距離をかせぎ、滞空時間は短くなる分、脚力でカバーしてキャッチし、記録を伸ばします。
大会では1人5回投げ、一番いい記録を採用します。
最初の2~3回でスタンダードな攻め方である程度の記録を出しておき、4回目、5回目で追い風で長記録にチャレンジするというようなこともできます。
世界記録は日本人が保持していて、92.64m。
92mを全速力で走るのも体力が必要ですが、92m走る間、ディスクを滞空させなければならないということに気づかれましたか?
M.T.A.で10秒以上記録を出せば国内大会で上位に入れると紹介しましたが、あなたは10秒で90m走れますか?そう考えるとT.R.C.の難しさが分かってもらえると思います。
自分が走れる最大の距離にちょうど落下するように滞空時間と距離を調整して投げて、走って、キャッチする。これほど難しいものはありません。
個人種目の中ではかなりハードな種目ですね。