公式種目「アルティメット」の紹介です。
アルティメットは、国内で一番メジャーな種目で、フライングディスクの中では、最も競技人口が多い種目です。
内容は、縦100m横37mの芝生コートを使用する、ディスク版のアメリカンフットボールのような種目です。人数は、7人対7人の2チームで行います。
縦100mのうち、両端の18mずつがお互いのチームのエンドゾーンとなっており、自分たちが守るエンドゾーンから、相手チームのエンドゾーンへパスをつなぐことによって得点が入ります。
途中で地面への落下やキャッチミスでパスが失敗すると攻撃権が相手チームに移り、その場所から逆に自分たちの守るエンドゾーンへ攻めてこられます。
パスを受け取った人は歩くことができず、軸足を決めてピボットすることしかできません。
パスを投げる先の味方には、たいていマンツーマンでディフェンスされていて、そのまま投げると簡単にパスカットされてしまいます。ですから、ディスクをもらう味方は、自分についているディフェンダーをフェイントを使って振り切り、全速力で走ります。投げる側は、その味方が走っていく前方をめがけてスローし、ちょうど走った先でキャッチできるようコントロールします。
走っていく先に投げるパスをリードパスと言います。
正確にリードパスを投げるのも難しいですが、投げる側にもディフェンスがついていますので、そのディフェンスの動きをかわしながらリードパスを投げなければなりません。
また、ディスクを受け取ってから10秒以内に投げなければならないルールになっているので、気持ちがあせってミスすることもあります。
ディスクを受ける人は、フェイントに失敗してディフェンスについて来られたら、他の味方へのパスコースをふさがないように、また走って後方に戻ります。
したがって、敵も味方もいないオープンなスペースにパスをもらいに走って、失敗したらスペースをあけるため、後方に戻って、次の味方がオープンスペースに走りこむ……、ということを繰り返さなければなりません。
サッカーコート並みの広さのコートで試合時間中、ほとんどずっと走っているわけですから、サッカーなどとくらべてもかなりハードな種目です。
心拍数で、もうこれ以上になるとダメというところを最大心拍数といいますが、アルティメットは最大心拍数の88%にまで達すると言われており、運動量はサッカーの2倍ぐらいと言われています。
ディスクを投げる技術も、試合時間中走り続ける体力も、多くの要素が要求されるため、英語で「究極」の意味である「アルティメット(Ultimate)」という名前がつきました。
試合は、21点先取で、11点でハーフタイムというのが本来ですが、実力が均衡するようなチーム同士ではなかなか終わらないため、時間制をとる場合が多いです。
前半40分、ハーフタイム10分、後半40分のような時間設定が多いです。
また、最大の特徴は、審判を置かないセルフジャッジ方式を採用していることです。
ゲームはアメリカンフットボールのようなルールですが、タックルなどの身体接触は一切認められていません。
相手にぶつかるなどのファールをした場合、ファールされた者がコールし、プレーを中断して攻撃権を得ます。これには必ず従わなければなりません。言わば、相手チーム全員が審判というわけです。
したがって、審判に見つからなければいいというようなファールはあり得ません。
運動量が多く、激しいプレーもありながら、ファールが少なく、参加しても観戦しても非常に気持ちのいいスポーツです。
国内では、日本フライングディスク協会主催の全日本アルティメット選手権が毎年開催されており、全国でチーム数が多いことから、東日本、中部、西日本の3地域に分けて地区予選があります。
また、大学生のチームが大半をしめており、日本学生フライングディスク連盟が主催する大会も行われています。
さらには、ディスクショップの Club Jr.が毎年3月に富士川でドリームカップという大会を開催しています。
協会登録にかかわらず参加できるという手軽さもあり、普段活動しているチームはもちろん、寄せ集めの即席チームや、強い選手を集めたスペシャルチームなども参加し、約100チームが参加する日本最大の大会となっています。
また、世界選手権ももちろんあり、ディスクゴルフ同様、World Games の正式種目になっています。フライングディスク種目の中では一番オリンピックに近い種目ではないでしょうか?
ハードですが、いったんのめりこんでしまうとやめられないアルティメット。
あなたも体験してみませんか?